2026年1月に入り、マレーシア不動産市場はパンデミック後の変動期を徐々に脱しつつあります。2025年を振り返ると、市場の動きは単なる価格反発ではなく、人口構造の変化、産業配置の調整、そして国際資本の流入が相互に作用した「理性的な再構築」と言えます。
最近、業界のベテラン専門家である堂田吉則氏(Yoshinori Dota)と Aqua White Home の Tan 氏が深い対談を行い、一次データに基づいた慎重ながらも楽観的な市場展望を共有しました。
1. 賃貸市場:基礎的需要の正常化
2025年後半のデータによれば、クアラルンプール及び周辺の主要エリアでは長期賃貸需要が非常に強い回復力を示しました。
入居率:90%以上を安定的に維持し、実需の強さを裏付けています。
賃料水準:平均賃料はほぼ2019年水準まで回復。投資家にとってはキャッシュフローが健全かつ予測可能な状態に戻り、資産価値の基盤が強化されました。
Airbnbなどの短期賃貸分野では、ビザ政策の利便性や観光客増加が利用率を押し上げています。供給は増加しているものの、立地が優れ管理が行き届いた物件は依然として競争力を維持しています。
2. 資本の流動:投資家層の構造的入れ替え
2025年には注目すべき現象がありました。円相場の変動を背景に、一部の日本人投資家が資産を売却して本国へ資金を戻す動きが顕著に増加。その結果、質の高い中古物件が市場に供給され、健全な「持ち替え」によって速やかに消化されました。
一方で、台湾の買い手が存在感を増しています。Tan 氏によれば、台湾投資家の動機は従来の教育移住(MM2A)から、より多様なグローバル資産配分やリスクヘッジへとシフト。経済の安定性と比較的低い保有コストを背景に、マレーシアは東南アジアにおける堅実な資産の避難先となりつつあります。
3. 2026年展望:複数の成長要因による中長期的トレンド
業界では、マレーシアが中長期的な成長サイクルの入り口にあるとの見方が広がっています。主な要因は以下の通りです。
産業集積効果:世界的なサプライチェーン再編の中で、半導体産業の拡張が高度人材の流入を促し、不動産市場の長期的支えとなっています。
通貨の安定:リンギット(MYR)の堅調な動きは経済基盤の改善を反映し、外資の信頼を高めています。
需給バランス:クアラルンプールの一部主要エリアでは新築優良物件の在庫が減少。供給制約により、優良資産の希少性が顕在化しつつあります。
中核エリアの価値:2026年には Mont Kiara(満家乐)など富裕層集積エリアで新規プロジェクトが予定されており、注目度が高まっています。
専門家の提言:理性的な選別と長期的価値への注目
堂田吉則先生は次のように提言しています:「2026年の投資環境では、『物件選別』(Object Selection)が単なる『参入タイミング』よりも重要です。」低効率な在庫が消化されるにつれ、投資家は高い流動性、実質的な産業支え、そして成熟した運営管理体制を備えた優良資産に注目すべきです